2021/05/17 00:06


◎勉強するときに、ノートやプリントに文字や文章を書くことを、面倒に感じて嫌がったり、書いたとしても乱雑になったりしてしまう子供たちがいます。「勉強を怠けている」と思われたり、何度も漢字を書く練習をさせられたりして、中にはますます書くことを嫌になってしまうケースもあります。

 ◎文字や文章を書くことが苦手になる理由として、もともともっている学び方の特徴があげられます。「全体的な形の把握が苦手」「細かいところまで注意を向けにくい」「手先の操作の問題」「記憶すること」などがあります。姿勢を保持することが苦手な場合は、落ち着いて書くことが難しくなるので、書くことが苦手になります。また、学習内容の理解に優れていても、書くことだけは苦手という子供もいます。

 ◎これらの改善のためには、楽しくできる専門的な方法がありますが、紙面の関係上ここでは御紹介できません。ここでは、御家庭でできて、効果の高かった取り組み例を御紹介いたします。

 

☆文字や文章は訓練の手段ではなく、あくまでもコミュニケーションのツールです。

子供から「コミュニケーションをとりたい」「言葉にしたい」というモチベーション

がないと、苦手なものにはなかなか取り組めません。

 


  例1)「ママへ ○○ちゃんとあそびます。5時にかえります」などのようなメモを、メモ用紙やホワイトボードに書くような機会を日頃から作る。

 

  例2)親しい人、お世話になった人、好きな人に手紙や暑中見舞いなどを書く。

 

  例3)自由ノートに好きな路線の駅名を順に書き出していく。(新宿、中野、高円寺 …)

 

  その他、「お楽しみ会の出し物のクイズ、なぞなぞを紙に書き出す」、「野球に夢中になっている子供がコーチに助言されたり自分で考えたりしたことをノートに書いていく」などがあります。

 

◎いずれも文字や文章を書くことが、「楽しい」「書きたい」「伝えたい」などの感情と結び付いています。訓練や練習の要素もありませんし、筆順や形を問われることもありません。また、日頃から楽しい会話やおしゃべりをたくさんして、“コミュニケーション好き”になっておくことも大切でしょう。少しずつ取り組むとよいでしょう。


文:東京都小学校指導教諭(特別支援)